「まちぶせ」に限らず楽曲がヒットするには、
曲のクオリティーがとか、歌が上手い下手とかというよりも、
時代が欲しているタイミングでリリースされることが重要だと思います。
「まちぶせ」は、そのメロディーと歌詞から、いかにも歌謡曲という作風。
三木聖子が「まちぶせ」を歌った1976年は、「まちぶせ」のような哀愁漂う歌謡曲はポピュラーで、
それ故に、そういった作風の楽曲群から一歩前に出るのは難しい時期だったのかもしれません。
1979年近辺からはYMOやニューミュージックブーム、80年代に入るとアイドルブームといったように、
日本の音楽界は転換期を迎え、世間はこれまで耳にしたことのないような新鮮な音楽で満たされて行きました。
こういった状況がピークを迎えようとしている1981年にリリースされた石川ひとみさんの「まちぶせ」は、
かえって新鮮で多くの人の耳に留まったことと思います。
石川ひとみが「まちぶせ」をリリースした頃、ルックスはアイドルなのに歌唱力はアイドルのそれでなく、
かつ、楽曲の雰囲気も他のアイドルソングのようにキャピキャピキラキラしておらず、
石川ひとみという人と「まちぶせ」という楽曲に他とは違う強い個性を感じました。
三木聖子と石川ひとみ、どちらの歌う「まちぶせ」もとても素晴らしく、比べてどちらが良いというものではありません。
石川ひとみの「まちぶせ」がヒットしたのは、ちょうどその時代が「まちぶせ」のような楽曲を欲していたこと、
キャリアを重ねて歌唱力と表現力に磨きのかかったベストコンディションの石川ひとみが歌ったこと等、
様々な要因が絡み合った結果だったような気がします。
「まちぶせ」 by 三木聖子 VS 石川ひとみ
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